2014年に公開され、第88回キネマ旬報ベスト・テンで作品賞を含む六冠に輝いた映画『そこのみにて光輝く』は、函館出身の作家・佐藤泰志の小説を原作に、人生のどん底をさまよう達夫と、過酷な日常を生きる千夏という姉弟の、ひと夏の切実な愛の物語を描いています。呉美保監督が「ここ以外で撮影するなんてありえない」と語ったほど、本作は函館の街並みと独特の空気感に深く根ざしています。
撮影は2013年の6月から7月にかけて、函館市内と北斗市内で行われました。単なる観光地ではない、生活の息づかいが感じられる函館の風景が、主人公たちのドラマチックな変化を静かに見守っています。この街を訪れ、彼らが確かに生きた場所の光と影を感じてみませんか。
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3人の運命を変えた舞台 上山大神宮
物語のクライマックスとなる夏祭りのシーンが撮影されたのが、函館山の麓にある山上大神宮(やまのうえだいじんぐう)です。ここは、千夏の弟・拓児が、姉を愛人にしていた中島を刺すという、達夫、千夏、拓児の三人の運命が大きく変わる転換点となった重要な舞台です。
撮影には、延べ300人近い地元の市民エキストラが参加し、祭りのにぎやかさが作り上げられました。山上大神宮は地元では坂本龍馬ゆかりの神社としても知られる観光スポットの一つでもあり、鳥居の間からは函館港を見下ろすことができる、まるで映画のセットのような素晴らしいロケーションも魅力です。
アクセスはJR函館駅より車で約15分とされています。電車通りから長く急な坂道(幸坂)を上がった突き当たりに位置しており、その「劇的な」立地はスクリーン上でも印象的に映し出されています。
| スポット名 | 所在地 | アクセス(目安) |
|---|---|---|
| 山上大神宮 | 函館市船見町15-1 | JR函館駅より車で約15分 |
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絆が深まり、未来が見えた海辺の情景
劇中、海辺の風景は繰り返し現れ、達夫と千夏の関係性を深く象徴しています。
運命的な出会いを経て二人が結ばれた海と砂浜
千夏一家が暮らしていたバラック小屋が建つ海岸は、対岸に函館山を望む北斗市の海と砂浜です。達夫と千夏が初めて海で一緒に泳ぐシーンなど、二人の関係性が決定的に変化していく印象的な場面がここで撮影されました。特に、海中で立ち泳ぎしながらキスを交わすシーンは、物語において重要な意味を持つ場面として知られています。
この海岸は、函館市の海岸線の先に函館山が望める大森浜(函館市啄木小公園付近)とともに、主人公たちの生活の場として登場しました。
夕日が美しい穴澗海岸
達夫と出会う前の、傷ついた千夏が海を眺めるシーンなどが撮影されたのが、函館市内の穴澗海岸(あなまかいがん)です。地元の人々の間では「函館で夕日を見るならここ」と絶賛されるほど、正面に沈む夕日が美しいスポットとされています。
映画をきっかけに訪れた際には、千夏が海を前に何を思っていたのか、物語の背景を感じながら、その美しい景観をじっくり眺めてみるのも良いかもしれません。穴澗海岸の住所は北海道函館市入舟町と案内されています。
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達夫・千夏・拓児の3人が心を通わせた食堂
ロケ地巡りの中で、特にファンが多く、実際に立ち寄って映画の雰囲気に浸れるのが津軽屋食堂です。
この食堂は、達夫と千夏と拓児の3人が初めて前向きな気持ちになり、乾杯をするという、貴重な食事のシーンの舞台となりました。主演の綾野剛さんも、この3人が笑っているシーンが特に好きだと語っていたそうです。
津軽屋食堂は、JR函館駅近くの大門エリアにあり、戦後まもなく開業したという昔ながらの懐かしい雰囲気が漂っています。ショーケースからおかずを選ぶ昔ながらのスタイルは、訪れる人々に「ほっと一息つける」と感じる傾向があります。いわゆる「おふくろの味」が食べられる場所として、地元でもいつも賑わっている食堂です。
作中では達夫はカレー、拓児は定食(風)といったメニューを食べていた様子がうかがえます。
| スポット名 | 所在地 | 営業時間・定休日 |
|---|---|---|
| 津軽屋食堂 | 北海道函館市松風町7-6 | 午前10時30分~午後8時、木曜日定休 |
物語を彩ったその他の重要なロケ地
『そこのみにて光輝く』では、主人公たちが暮らす街の生々しい情景も丁寧に捉えられています。
繁華街の光と影
主人公の達夫が夜の街をふらつきながら歩くシーンは、函館市内の繁華街を中心に撮影されました。本町(五稜郭公園前電停付近)、松風町(大門エリア)、十字街などがその舞台です。
達夫が居酒屋やスナックが立ち並ぶ通りを彷徨う様子が描かれ、呉監督は、達夫役の綾野剛さんが立つことで、わびしい夜の街が「華やかに生き返った」と感じたといいます。また、十字街では、拓児が事件を起こした後、達夫の自転車の後ろに乗って交番へ出頭する重要なシーンも撮影されました。
実際に存在する千夏の職場
千夏が働く塩辛工場として撮影に使用されたのは、実際に「いかの塩辛」などを製造・販売している竹田食品です。この施設は、見学が可能であるとされています。
拓児の焦燥が描かれた場所
拓児が車券を買ったり、後見人の中島とレースを観覧したりするシーンは、函館競輪場で撮影されました。また、達夫がパチンコ店で拓児と出会うシーンも物語の始まりとして印象的です。
原作の背景を知る文学館
映画鑑賞後、原作の世界観をさらに深く理解したい方におすすめなのが、函館市文学館です。函館出身の原作者、佐藤泰志さんの直筆原稿などが展示されており、彼の文学が生まれた風土や、作品が描いた「サムライ部落」と呼ばれた地域(現在の啄木小公園付近)の歴史的な背景について知るきっかけになる可能性があります。
まとめ:函館の日常に光を探して
映画『そこのみにて光輝く』のロケ地は、華やかな観光名所というよりも、主人公たちが必死に生きる「人生の断片(スライス・オブ・ライフ)」としての日常の風景です。彼らの魂が引き寄せられ、傷つきながらも愛を見出していった道のりを辿ることで、函館という街の、さりげなくも力強い魅力を再発見することができるでしょう。
ロケ地を巡る際には、市電の利用がおすすめです。市電の終点から谷地頭方面へ足を延ばしたり、主要な繁華街から海辺へと向かう道すがら、映画の登場人物になったつもりで、函館の街に流れる独特な空気感を味わってみてください。
劇中、愛を知った千夏と達夫が、厳しい人生の中でも「それでも明日は来る」と信じられるようになったように、彼らが光を見出した風景は、訪れた人々の心にも静かな希望をもたらしてくれるかもしれません。
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