2010年に公開された映画『海炭市叙景』は、函館出身の作家・佐藤泰志氏の小説を原作とし、多くの函館市民の支援を受けて制作された作品です。この映画の舞台「海炭市(かいたんし)」は函館がモデルとなっており、美しい観光都市としての一面だけではなく、地方都市に生きる人々の葛藤や、街の抱える現実の姿がリアルに描かれています。
この作品のロケ地を巡ることは、単なる観光地の訪問を超え、映画に込められたメッセージや、函館という街の深い息遣いを感じる体験になるでしょう。ここでは、映画の印象的なシーンが撮影された場所や、ロケ地巡りに役立つ情報をご紹介します。
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市民の情熱が刻んだ『海炭市叙景』の背景
『海炭市叙景』の映画化は、佐藤泰志氏の故郷である函館の市民が中心となり実現しました。没後、佐藤作品の魅力は函館市民によってウェブサイトなどを通じて発信され続け、映画制作が難航した際には、市民が率先して募金活動を行うなど、まさしく「市民参加型の映画づくり」として誕生した経緯があります。
この映画は「今の函館の町並みを映像として記録し、後世への記憶に残す」という目的も掲げられており、観光映画とは一線を画した、変わりゆく地方都市のありのままの姿が映し撮られています。メインキャストだけでなく、エキストラを含め500人以上の函館市民が出演し、ボランティアとして制作を支えたことも、この映画の大きな特徴です。
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物語を象徴する主要なロケ地スポット
『海炭市叙景』のロケ地は、函館市内の生活圏に点在しています。特に印象的なシーンに使われた場所をいくつかご紹介します。
記憶に残る「あの坂」と市電が交差する風景
映画の終盤近くで、竹原ピストルさん演じる人物と谷村美月さん演じる人物が、市電が通る通りを超えて上っていく坂道が非常に印象的です。函館には函館山へ向かう美しい坂が多くありますが、映画に使われた坂は、観光スポットが密集するピカピカに整備された地区ではなく、実に寂しい感じがする地味な坂だったとされています。
市電が停車する十字街電停は、隆三と春代、晴夫とアキラといった主要な登場人物たちが乗車したり、すれ違ったりする場面で使われました。路面電車が走る風景は、物語の中で人々の人生が交差する象徴的な場所として描かれています。
函館の日常が垣間見える場所
函館駅前の朝市(トキ婆さんの直売)
映画の中で、立ち退きを拒否する老婆・トキが漬物をござに載せて売り、生計を立てていた市場が函館駅前の朝市です。トキ婆さんのような、目立たない商いをする人もいる反面、観光客相手に特化した店舗が目立ち、地元住民が買う価格よりも高価な品物を扱う店が多いという声もあります。
朝市は観光名所であるものの、時期によっては活気が少ないと感じる訪問者もいるようです。しかし、映画の舞台を訪れることで、観光地化された部分と、物語に描かれた日常のコントラストを感じ取ることができるかもしれません。
函館プラザホテル付近
三浦誠己さんが泊まっていた設定のホテルに酷似している、または実際に使用された可能性が高いとされているのが函館プラザホテルです。部屋はベッドよりもわずかに幅が広い程度で、椅子が置かれていても隙間が狭く、窓際が机代わりになっているにもかかわらず椅子を置けない、といった少し変わった間取りが特徴的だったようです。
ゴライアスクレーンと函館どつく
物語にたびたび登場し、兄妹の幼い頃の記憶の中に刻まれているのが、老舗造船所、函館どつくのゴライアスクレーンです。これはブロックなどの重量物を運搬するための造船用クレーンで、造船マンの誇りの象徴でもありました。このクレーンは、港町・函館の原風景として約40年近く親しまれていましたが、2009年(映画の制作直前)に解体され、その最後の姿がフィルムに記録されています。
このクレーンが建っていた旧函館どっく跡地では、大型クレーン解体前に先行ロケが行われました。この場所は、変わりゆく函館の姿を象徴する場所と言えるでしょう。
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ロケ地巡りのヒントと街の魅力
『海炭市叙景』のロケ地は、函館山周辺の観光地だけでなく、五稜郭駅付近の住宅地など、一般の生活圏に広く点在しています。兄妹のアパートのように、一般民家や隣接地に位置し、迷惑になるため場所が公にされていないスポットも存在します。そのため、すべてのロケ地を特定して巡るのは難しいかもしれません。
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函館文学館で佐藤泰志の世界に触れる
函館文学館には、原作者である佐藤泰志氏のコーナーが常設展示されています。ここでは、彼が小説を書く際に、実際の函館の町内に独自の名前をつけ、作中だけの公園や道路を書き込んだ手書きの地図などが展示されていました。
基本情報
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文学館で作品の背景に触れることで、ロケ地を訪れた際の街の風景に対する見方がさらに深まるかもしれません。
函館の独特な雰囲気と訪問時の注意点
映画に描かれたように、函館の街は全体的に独特の趣と哀愁を併せ持っているという意見が聞かれます。夜になると人通りが少なく、コンビニの閉店時間が早い傾向が見られるなど、地方都市としての寂しげな雰囲気を醸し出しているという声もあります。
観光の際は、特に以下の点に注意すると、より快適に過ごせるでしょう。
ロケ地巡りのポイント
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まとめ
映画『海炭市叙景』のロケ地は、華やかな観光スポットというよりは、函館に暮らす人々の日常の営みと、地方都市の現実が交差する風景そのものです。
佐藤泰志氏が描いた「海炭市」の息遣いを追体験する旅は、函館の路面電車が走る街並みや、海を望む坂道に立ち止まるたびに、登場人物たちの人生の重みや、ささやかな希望を感じさせてくれる可能性があります。観光客の喧騒から少し離れて、街の持つ独特な雰囲気にじっくりと浸ってみるのも、心に残る旅路となるでしょう。
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