2014年に公開され、多くの映画賞を受賞した『そこのみにて光輝く』。佐藤泰志による1989年の同名小説を原作としていますが、映画化にあたっては時代設定やキャラクターの背景にいくつかの変更が加えられています。
「原作と映画では何が違うの?」と気になっている方のために、映画版ならではのアレンジや、現代に合わせて変更されたポイントについてまとめました。
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時代設定と「現在」への置き換え
原作小説が発表されたのは1989年、日本がバブル景気の絶頂にあった時期です。原作では、社会全体が前に向かって進んでいる時代の中で、取り残された人々の姿が描かれています。
一方、呉美保監督による映画版では、物語の舞台を撮影当時(2013年頃)の「現在」に置き換えています。これは、現代の格差社会において、生きにくさを抱えている人々の姿を描くべきだと考えられたためとされています。
ただし、現代劇でありながらも、あえて特定の時代を感じさせないような、どこか昭和の香りが残る映像作りがされているのが特徴です。原作にあるバブル期の熱気とは異なり、映画版では少しクールダウンしたテンションで、底辺を生きる人々の日常が静かに、しかし生々しく描写されています。
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主人公・達夫の職業とトラウマの違い
綾野剛さんが演じた主人公・達夫の設定も、映画と原作では大きく異なります。
原作の達夫:造船所の技術者
原作の達夫は、町一番の造船所に11年勤務し、設計課にいた技術者という設定です。造船所の経営危機や労働組合の活動に疑問を感じて退職し、失業保険で暮らしているという背景があります。原作では、労働争議や組織への反発といった社会的なテーマが色濃く反映されています。
映画の達夫:採石場の作業員
映画版では、達夫は山で岩を砕く仕事(採石場)をしていました。仕事を辞めた理由は、発破のミスによって後輩を事故死させてしまったことへの深い後悔とトラウマによるものに変更されています。
この変更により、映画版では社会的な対立構造よりも、達夫個人の「過去の罪悪感」や「心の傷」に焦点が当てられ、より内面的なドラマとして描かれるようになりました。
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ヒロイン・千夏と達夫の関係性
池脇千鶴さんが演じた千夏や、彼女を取り巻く関係性にも、映画ならではの脚色が加えられています。
千夏のキャラクター像
原作の千夏は饒舌で、達夫に対して積極的に語りかけていく女性として描かれています。一方、映画版の千夏は、言葉少なで、どこか儚げな雰囲気をまとっています。
呉監督は、過酷な環境で家族を支える千夏を「あからさまに同情されるようなヒロインにはしたくない」と考え、観客が一人の人間として彼女を肯定し、惚れてしまうような女性像を目指したといいます。
衝撃的な展開のカット
原作を読んだファンが驚く点として、達夫の女性関係が挙げられます。原作(特に続編部分)では、達夫が千夏以外の女性と浮気をする描写があり、千夏も生活に疲れた様子が強調されています。
しかし映画版では、達夫は千夏に対して献身的であり、他の女性に目移りするような描写はありません。達夫が千夏とその家族を丸ごと受け入れようとする真摯な姿が一貫して描かれており、純粋なラブストーリーとして昇華されています。
敵役・中島の設定変更
千夏と関係を持つ中島(高橋和也演)の設定も変更されています。
原作の中島はテキ屋の親分であり、千夏とはすでに別れているという設定ですが、映画版では千夏の弟・拓児の雇い主(水産加工業などの社長)として登場します。
映画版の中島は、妻子がありながら千夏に執着し、暴力を振るう一方で「お前しかいない」とすがるような、人間臭い弱さや狡さを持った人物として描かれました。この変更により、千夏がなぜ彼との関係を断ち切れないのかという「しがらみ」が、より現代的でリアルな閉塞感として表現されているといえるでしょう。
結末と「光」の表現
物語のラストシーンも、映画と原作では受ける印象が異なるかもしれません。
原作は第1部と第2部(続編)からなり、二人が結婚して家庭を持ち、新たな苦悩に向き合う姿までが描かれています。
一方、映画版は第1部を中心に構成されており、決してハッピーエンドとは言い切れない状況の中で幕を閉じます。しかし、ラストシーンで二人に降り注ぐ朝日は、暗い夜を乗り越えた先にある「救い」や「安堵」を象徴しており、タイトルである『そこのみにて光輝く』を見事に映像化したものとして高く評価されています。
まとめ
映画『そこのみにて光輝く』は、原作の持つ力強いテーマ性を大切にしながらも、設定を現代に合わせて巧みに再構築しています。
労働争議などの時代色は薄まりましたが、その分、個人の孤独や愛、そして「底辺」と呼ばれる場所で懸命に生きる人々の姿が、より普遍的なものとして描かれています。原作にある複雑な人間関係や続きの物語も魅力的ですが、映画版ならではの「一筋の光」を感じさせる結末もまた、多くの人の心を捉えて離さない理由の一つといえるでしょう。
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