2005年に公開された映画『北の零年』は、明治維新後の激動の時代、故郷を追われ北海道の原野開拓に挑んだ人々の壮絶な物語を描いた感動作です。吉永小百合さんが主演を務め、渡辺謙さん、豊川悦司さんら豪華キャストが集結したこの作品は、その壮大なスケールゆえ、広大な北海道の各地で大規模なロケが行われました。
ここでは、映画の重要な場面を彩った主なロケ地と、撮影当時のエピソードをご紹介します。
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メイン舞台となった夕張市のロケ地とオープンセット
『北の零年』のロケ地として、最も大規模なセットが組まれ、撮影の拠点となったのが夕張市です。物語の舞台は史実では静内(現新ひだか町)ですが、ロケの拠点は夕張に置かれました。
迫力ある開拓村を再現した鹿島地区
夕張市鹿島地区の広大な土地(2ヘクタール)には、映画のメインとなるオープンセットが本建築で建設されました。ここには、殿の屋敷や開拓移民小屋、駅逓、会所、神社、火の見櫓などが立ち並び、明治初期の開拓村の様子がリアルに再現されました。特に、市街地のセットは、明治4年、5年、10年と時代の経過に合わせて三段階で進化する、手の込んだ作りだったとされています。
撮影の厳しい寒さを物語るスポット
夕張市内のロケ地としては、真谷地炭鉱露天掘り跡地やシューパロ湖も使用されました。特にシューパロ湖は、馬宮伝蔵(柳葉敏郎さん)・加代(石田ゆり子さん)夫妻の子どもの葬列シーンの舞台となり、遮蔽物のない吹きさらしの場所で、経験したことのないほどの寒さの中で撮影が行われたというエピソードが残っています。
監督の行定勲さんは、開拓者の貧しさや寒さを乗り越える雰囲気を出すため、晴天の日を避け、あえて猛吹雪など気候条件が厳しい時を選んでロケを敢行したという逸話があります。
ロケセットが保存された「北の零年 希望の杜」
主演の吉永小百合さんの「映画のセットを残してほしい」という強い要望があり、殿の屋敷や志乃の家などのロケセットの一部は、夕張市の石炭の歴史村公園内にある「北の零年 希望の杜」に移設・保存されました。
ただし、こちらは2013年時点の情報で現在休館中とされており、内部を見学できるかは確認が必要です。また、この地では、映画公開後の平成17年(2005年)9月3日をはじめ、吉永小百合さんらによるエゾヤマザクラの植樹が行われ、夕張市への支援活動の一環にもなりました。
アクセス情報(休館中とされる施設を含む)
- 真谷地炭鉱露天掘り跡地:JR石勝線沼ノ沢駅から夕鉄バスで真谷地下車、徒歩約10分。
- シューパロ湖:JR石勝線清水沢駅から車で約15分。
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開拓団上陸の地、静内・浦幌に残る史実の風景
物語の主たる舞台(史実の舞台)となった静内(現新ひだか町)や、開拓団が初めて北の大地に足を踏み入れた場所もロケ地として使用されています。
静内と小松原牧場
静内町では、北海道大学静内研究牧場がロケ地の一つとなりました。劇中で小松原志乃(吉永小百合さん)が暮らす小松原牧場の住居や厩舎などのオープンセットがここに建てられました。
また、史実において淡路島から集団移住した稲田家が上陸したとされる場所は、旧JR静内駅からさらに南下し、春立駅に向かう国道235号から少し入った春立漁民センターの隣だとされています。映画は史実を背景にしながらもフィクションとして構築されていますが、この地を訪れることで、開拓民の歴史に触れることができるでしょう。
荒々しい北の大地への第一歩、浦幌町
移民船での上陸シーンが撮影されたのは、北海道東部の浦幌町厚内地区にある直別海岸です。ここは、稲田家移民団が実際に北海道に第一歩を記した場所の一つとされています。
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映画の壮大なラストを飾った浦河町のロケ地
北海道開拓史において重要な要素となる牧場経営のシーンは、浦河町周辺で撮影されました。
開墾地と牧場
浦河町では、原生林を切り開き、開墾していく様子が描かれました。撮影チームは、浦河町の実際の伐採予定現場や、JRA(日本中央競馬会)が所有する広大な敷地を借りて、畑や田んぼを作り上げ、リアルな開拓シーンを撮影しました。カラスや鹿、キツネ、熊などの野生動物に作物を食い荒らされるという、自然の厳しさを反映した苦労もありました。
クライマックスのシーンの一つである、アメリカ人牧場主エドウィン・ダンの牧場などのロケ地として、日本中央競馬会日高育成牧場が使われ、映画のラストシーンもここで撮影されました。広大な牧場が広がる日高地方の雄大な景色は、志乃たちが未来を切り拓く希望を感じさせる舞台として、作品に深みを与えています。
北海道「北の三部作」巡りのヒント
近年、JR北海道の企画では、『北の零年』を含む「北の三部作」(『北の零年』『北のカナリアたち』『北の桜守』)のロケ地を巡るコースが設けられたこともあり、北海道内には映画の舞台となったスポットを辿る旅の楽しみ方が提案される傾向も見られます。広範囲にわたるロケ地を効率的に巡るには、北海道の旅行プランを参考に、エリアを絞って計画を立てるのがおすすめです。
まとめ
『北の零年』のロケ地は、北海道の厳しい自然と、そこで懸命に生きた人々の歴史が交差する、深い魅力に満ちた場所ばかりです。夕張の壮大なオープンセット跡や、静内・浦幌に残る開拓団の上陸地を訪れることは、単に映画のシーンを思い出すだけでなく、明治の開拓時代に生きた人々の困難な道のりや、その後の北海道の再生に向けた強い想いを感じ取るきっかけとなるかもしれません。
映画が描いた、荒涼とした大地を前に希望を失わずに生き抜いた女性たちの姿を胸に、北の大地の歴史に思いを馳せる旅に出かけてみるのはいかがでしょうか。それはまるで、遠い過去に響いた開拓の鍬の音を、現代の私たちが改めて耳にするような、静かで感動的な体験をサポートしてくれる可能性があります。
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