漫画から始まり、映画化もされて多くの人の心を揺さぶった名作『星守る犬』。かわいらしい犬の表紙とは裏腹に、現代社会の厳しい現実を描いたこの物語に、深く考えさせられたという方も多いのではないでしょうか。読者や視聴者の間では「この話には実在のモデルがいるのではないか」「あの美しいひまわり畑はどこにあるのか」といった疑問がよく聞かれます。
この記事では、作品が生まれた背景にあるエピソードや、物語の重要な舞台となった北海道のロケ地について考察を交えて紹介します。
▶ 北海道各地のロケ地を横断的にチェックしたい方へ
物語のモデルとなった出来事とは
『星守る犬』はフィクション作品ですが、物語が生まれるきっかけとなった「原案」とも言える出来事があったとされています。原作者の村上たかし氏は、電光掲示板に流れたあるニュースを目にしたことがきっかけで、この物語の着想を得たそうです。
そのニュースとは、山中に放置された車の中から、死後半年以上経過した男性の遺体と、その脇で死後3ヶ月ほどの犬の遺体が発見されたというものでした。飼い主が亡くなった後も、その事実を知らないまま寄り添い続け、主を守ろうとした犬の姿がイメージされ、そこからストーリーが動き出したといわれています。
また、物語の進行役である市役所職員・奥津のキャラクターには、担当編集者の実体験が反映されているようです。かつて愛犬を飼っていた際に、散歩を面倒に感じたり八つ当たりをしてしまったりした「良き飼い主ではなかった」という後悔の念が、奥津という人物の造形や、彼が旅に出る動機づけに活かされたというエピソードがあります。
特定の個人の伝記ではありませんが、こうした現実のニュースや、誰しもが抱くかもしれないペットへの複雑な想いが積み重なって、リアリティのある物語が紡がれたのでしょう。
| U-NEXT: U-NEXT<ユーネクスト> 作品ラインアップが豊富。まずは公式ページで『星守る犬』の配信状況をご確認ください。 |
タイトル「星守る犬」に込められた意味
タイトルの意味について作中で語られる場面も印象的です。「星守る犬」とは、犬が星を物欲しそうに見上げている姿から転じて、「手に入らないものを求める人」を指す言葉だとされています。これは、隣にあるささやかな幸せに気づかず、遠くにある理想や高望みを追い求めてしまう人間の姿を、青い鳥のような寓話として表現しているとも読み取れます。
すべてを失いながらも旅を続けた「おとうさん」と、ただ純粋に主人を見つめ続けた「ハッピー」。二人の旅路をこのタイトルに重ね合わせることで、幸福とは何かという問いがより深く胸に迫るのかもしれません。
✈️ 映画『星守る犬』のロケ地を巡る旅、名寄や道北まで足を伸ばすなら
北海道のロケ地を効率よく巡るなら、航空券+ホテルをまとめて調べる方が多いようです。
▼ 旅のスタイルが決まっている方はこちら
物語の終着点となった舞台・北海道名寄市
物語の中で「おとうさん」と愛犬ハッピーが目指した旅の終着点は、北海道の名寄(なよろ)市周辺だと考えられています。映画版では、彼らが乗っていた車のナンバーが名寄を示す「746(ナヨロ)」であったり、彼らを追う奥津の車も名寄へ向かっていたりすることから、この地が重要な舞台であることがわかります。
特に象徴的なのが、広大なひまわり畑です。映画のポスタービジュアルやクライマックスシーンのイメージとなったのは、名寄市にある「北海道立サンピラーパーク」や「MOA名寄農場」のひまわり畑だとされています。
黄色い絨毯のように広がるひまわり畑は、悲しい結末とは対照的に、温かみのある希望を感じさせる場所として描かれています。名寄のひまわりは例年8月上旬から中旬頃に見頃を迎えるといわれており、映画の世界観を追体験しようと訪れるファンもいるようです。
映画版のロケ地とゆかりのスポット
2011年に公開された映画版では、東京から東北を経由し、北海道へと至るロードムービーとして、各地でロケが行われました。ここでは、ファンにとって感慨深いと思われる主なスポットをいくつか紹介します。
石狩市の海辺のカフェ
北海道に上陸した後、旅の途中で立ち寄る場所として登場するのが石狩市です。石狩浜の近くにある「カフェ・マウニの丘」は、映画の中で重要なシーンの撮影が行われた場所として知られています。窓から日本海を一望できるロケーションで、物語の静かな情感を感じられるスポットといえるでしょう。
名寄市立天文台「きたすばる」
名寄市にある天文台の入り口には、愛犬ハッピーを模したモニュメントが設置されているそうです。丘の上に位置するこの天文台は、タイトル通り満天の星空を眺めることができる場所であり、物語のテーマに寄り添うような施設です。
風連望湖台自然公園
名寄市内から少し離れた場所にあるキャンプ場も、物語のラストシーンを思わせる場所として知られています。ここには、映画で主演を務めた西田敏行さんと玉山鉄二さんの手形が刻まれた記念碑が建てられており、物語の余韻に浸れる場所となっているようです。
作品の魅力と鑑賞時の注意点
『星守る犬』は単なる「動物の感動ストーリー」という枠に収まらない作品であると評価されています。鑑賞や読書を検討している方のために、傾向として見られる魅力と注意点をまとめました。
現代社会を映し出す深いテーマ
この作品は、かわいらしい犬との旅を描きつつも、その背景には熟年離婚、リストラ、無縁社会、孤独死といった現代社会が抱える重い課題が横たわっています。「単なるお涙頂戴の映画だと思って観ると驚く」という声もあるように、社会的なメッセージ性が強い点が特徴です。人と人とのつながりが希薄になりがちな現代において、何が本当の幸せなのかを問いかけてくる作品といえるでしょう。
愛犬家にとっては辛い場面も
一方で、動物が好きな方、特に犬と暮らした経験がある方にとっては、直視するのが辛いと感じる展開が含まれています。自身のペットが亡くなった時のことを思い出してしまう、という感想も少なくありません。ハッピーの健気な姿に心を打たれる一方で、その結末に胸を締め付けられるような思いをする可能性もあるため、ある程度の覚悟を持って鑑賞することをおすすめします。
まとめ
『星守る犬』は、実際にあったニュースに着想を得て、現代社会の孤独やペットとの絆を描き出した作品でした。物語の舞台となった北海道名寄市のひまわり畑や、各地に残るロケ地は、今も静かに物語の世界観を伝え続けています。決して明るいだけの物語ではありませんが、夜空の星を見上げるように、ふとした瞬間に誰かのことや自分の生き方を考えたくなる、そんな余韻を残してくれる作品です。
『星守る犬』を手元に残したい方へ。
楽天市場で購入できる関連アイテムを厳選しました。価格・在庫・配送条件は変動しますので、各リンク先の最新情報をご確認ください。
①DVD:
|
|
②ブルーレイ:
|
|
③文庫:
|
|
ロケ地めぐりで北海道に行きたくなった方へ。
なかなか現地まで行けない時は、北海道グルメのお取り寄せで気分だけ味わうのもおすすめです。

