高倉健さんの代表作として知られ、昭和の映画史にその名を刻む『網走番外地』シリーズ。雪深い北海道・網走刑務所を舞台にしたこの作品は、多くの人々に強烈なインパクトを与えました。しかし、なぜこれほどまでに「網走」という場所がクローズアップされ、物語の舞台として選ばれたのでしょうか。
実はその背景には、ある洋画からの影響や、大物俳優による企画の持ち込み、そして実在した小説の存在など、いくつもの偶然とアイデアが重なり合っていました。
この記事では、『網走番外地』が誕生した経緯や、タイトルの意味、そして舞台となった網走刑務所の歴史的背景について、分かりやすく紐解いていきます。
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網走が選ばれた3つのきっかけ
この映画が網走を舞台にし、制作されることになった背景には、主に3つの大きな要素が関係しているといわれています。
1. 洋画『手錠のまゝの脱獄』からのインスピレーション
シリーズ第1作目の監督を務めた石井輝男氏は、以前からあるアメリカ映画の日本版を作りたいという構想を温めていました。それは、スタンリー・クレイマー監督の『手錠のまゝの脱獄』(1958年)という作品です。
この映画は、黒人と白人の囚人が手錠で繋がれたまま脱走し、反目し合いながらも逃避行を続けるというストーリーでした。石井監督はこの「手錠で繋がれた2人の逃亡劇」というアイデアを日本映画に取り入れようと考え、その舞台として過酷な自然環境が必要だったことから、冬の北海道・網走が選ばれた側面があるようです。
2. 名優・三國連太郎による企画の持ち込み
もう一つの重要なきっかけは、当時東映の専属俳優だった三國連太郎氏による提案でした。三國氏は、実際に網走刑務所で囚人による脱獄計画があったことを知り、それをモデルにした企画書を撮影所長に提出していたといいます。
当初、三國氏は自らが主演するつもりで企画を進めていましたが、当時の映画路線の変更や興行的な事情により、主演は高倉健さんに変更されました。三國氏の出演は叶いませんでしたが、彼が網走刑務所を題材にした企画を持ち込まなければ、このシリーズは生まれていなかったかもしれません。
3. 受刑者の間で歌い継がれていた「歌」の存在
さらに制作を後押ししたのが、映画の主題歌としても有名になった「網走番外地」という曲です。当時の東映東京撮影所長が「網走刑務所の受刑者の間で歌い継がれているいい歌がある」と監督に話を持ちかけたことが、映画化の具体的なきっかけの一つになったとされています。
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原作小説と映画のストーリーの違い
「網走番外地」というタイトルには原作となる小説が存在します。それは、伊藤一という人物が自身の実刑体験をもとに執筆した実録小説『網走番外地』です。
しかし、高倉健さん主演の映画版は、この原作小説の内容をそのまま映像化したものではありません。実は、原作小説はすでに他社(日活)で映画化されていましたが、興行的に振るわなかったという経緯がありました。
そこで東映版では、伊藤一氏の小説からは「網走番外地」という魅力的なタイトルと舞台設定だけを借り、中身は石井監督が独自の脚本を書き下ろしたのです。その結果、原作とは異なる「娯楽性の高い作品」が誕生しました。
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「網走番外地」という住所は実在するのか
映画のタイトルにもなっている「番外地」という言葉ですが、実際にそのような住所があるのか気になる方も多いでしょう。
結論から言うと、「網走番外地」という住所は登記上存在しないとされています。網走刑務所の実際の住所は「網走市字三眺官有無番地」です。
「無番地」とは、地番がつけられていない土地(主に国有地など)を指します。映画のタイトルとして使われるにあたり、「無番地」よりも語呂が良く、社会からの疎外感や迫力を感じさせる「番外地」という言葉が選ばれたのかもしれません。
時代背景と網走刑務所の役割
映画の舞台となった網走刑務所は、日本の近代史においても重要な役割を果たしてきました。
北海道開拓と囚人労働
明治時代、政府は「富国強兵」を掲げ、ロシアの脅威に備えるために北海道の開拓を急務としていました。そこで労働力として目をつけられたのが、全国の監獄で過剰になっていた囚人たちです。
1890年(明治23年)に開設された網走囚徒外役所(のちの網走刑務所)には、重罪人たちが集められ、道路建設などの過酷な労働に従事させられました。特に中央道路の開削工事は多くの犠牲者を出しながら、わずか1年という短期間で行われたと伝えられています。
「脱獄不可能」といわれた理由
網走刑務所が「日本一脱獄が難しい」といわれた背景には、その地理的条件があります。冬の北海道は極寒であり、もし塀の外に出られたとしても、広大な雪原と厳しい寒さが逃亡者の行く手を阻みます。この「地の果て」ともいえる過酷な環境が、映画のサスペンス要素を高める絶好の舞台装置となったのでしょう。
まとめ
『網走番外地』が網走を舞台にした理由は、単なる偶然ではなく、いくつかの要因が重なり合った結果でした。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 海外映画からの着想 | 手錠で繋がれた脱走劇を描くため、過酷な雪原が必要だった。 |
| 俳優の情熱 | 三國連太郎氏が実在の脱獄未遂事件に着目し、企画を持ち込んだ。 |
| 歌の力 | 受刑者に歌い継がれていた曲が、映画のイメージを決定づけた。 |
また、タイトルや設定の一部は実在の小説から借りつつも、内容はオリジナルの娯楽大作として仕上げられたことが、シリーズ化されるほどの大ヒットにつながったといえます。
かつては恐ろしい場所というイメージが強かった網走刑務所ですが、この映画のヒットにより、現在では多くの観光客が訪れる名所となりました。映画を通して、その歴史や背景に思いを馳せてみるのも興味深いかもしれません。
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