1984年の誕生から40年近くが経過した現在も、不朽の名作として愛され続けているアドベンチャーゲーム『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』。2024年にはグラフィックやシナリオを強化したリメイク版が発売され、再び注目を集めています。この作品が描く「重厚な人間ドラマ」や「戦後の闇」には、特定のモデルや着想源が存在するといわれています。
今回は、制作者である堀井雄二氏の証言や当時の時代背景から、事件のモデルとなった要素を詳しく考察します。
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松本清張の名作「砂の器」からのインスパイア
『オホーツクに消ゆ』の物語の骨格には、作家・松本清張氏の影響が色濃く反映されているとされています。堀井氏は当時のインタビューにおいて、本作のプロデューサーから主人公たちのイメージを映画『砂の器』のキャストに例えられた際、そのイメージを肯定しています。
物語の導入部で、東京の晴海埠頭から身元不明の遺体が発見され、そこから捜査の舞台が遠く離れた地域へと移っていく展開は、まさに清張作品を彷彿とさせると評価されています。堀井氏は松本清張作品を愛読しており、実際に北海道へのロケハンを行った際も「気分は松本清張だった」と振り返るほど、その作風を意識していたようです。
特に、過去の出来事が現在の連続殺人へと繋がっていく構成や、複雑な人間関係の裏に隠された悲哀を描くスタイルは、当時のアドベンチャーゲームとしては画期的な試みでした。
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北海道開拓の歴史と「戦後の闇」
ゲーム内で語られる「戦後の闇」というテーマには、北海道が辿ってきた過酷な開拓の歴史が深く関わっていると考えられます。
物語の鍵を握る設定の一つに、1949(昭和24)年に紋別で起きたとされる架空の船舶事故「栄福丸沈没事件」があります。この事件の背景には、戦後間もない時期の違法な利益獲得や、それに関わった者たちの口封じといった「闇」が設定されています。
これらは現実の特定の事件そのものを指すものではありませんが、当時の北海道における資本蓄積の過程や、人々の欲望が渦巻いた社会情勢をモデルにしているという見方があります。
また、作中に登場する網走刑務所についても、単なる舞台設定以上の意味を持っています。史実における北海道の刑務所(集治監)は、過酷な囚人道路の開削や炭鉱開発など、多くの犠牲の上に北海道の礎を築いた場所でもありました。
ゲーム内で重要なアイテムとして登場する「ニポポ人形」を囚人が彫っているという設定も、こうした行刑の歴史と地域の共存という現実の風景を反映したものといえるでしょう。
ロケハンによるリアリティの追求
本作のリアリティを支えているのは、当時としては珍しい「徹底した現地取材(ロケハン)」です。堀井氏をはじめとするスタッフは実際に北海道へ足を運び、そこで得たインスピレーションを物語に落とし込みました。
例えば、網走や知床五湖、摩周湖といった実在の名所が次々と事件の舞台となる展開は、このロケハンがあったからこそ実現したものです。中でも「涙を流しているように見えるニポポ人形」というアイデアは、こうした現地での経験から生まれた印象的なギミックとして知られています。
さらに、ゲーム内の移動システムも「地名移動方式」という革新的な手法が採用されました。これは、それまでの常識を覆すような、一見するとシンプルながらも画期的な発想によるもので、日本のストーリーゲームに大きな実りをもたらしたと評価されています。
事件考察の魅力と注意点
『オホーツクに消ゆ』のモデル考察を楽しむ上で、いくつかの魅力と注意すべき点があります。
魅力としては、ゲームをプレイした後に実際の北海道を訪れる「聖地巡礼」としての楽しみが挙げられます。博物館網走監獄などの関連施設を巡ることで、ゲームで描かれた歴史の重みを肌で感じることができるでしょう。一方で、あくまでフィクションとしての面白さを優先しているため、現実の歴史や事件と全てが一致するわけではない点には注意が必要です。
例えば、1984年に札幌で起きた「城丸君事件」などの未解決事件と本作の関連性を推察する声もありますが、発売時期や内容を照らし合わせると、直接的なモデルというよりは、当時の社会が持っていた空気感の共有といった側面が強いと考えられます。
まとめ
『オホーツクに消ゆ』の事件モデルは、松本清張作品に代表されるミステリーの伝統と、北海道という土地が持つ固有の歴史、そして作り手の情熱的なロケハンが組み合わさって形作られたものです。
単なる犯人探しにとどまらず、加害者や被害者の背後にある長い時間の流れを感じさせる重層的な物語。その奥深さを知ることで、再びゲームをプレイしたときの景色は、より鮮やかで感慨深いものに変わるかもしれません。北海道の澄んだ空気を思い描きながら、北の空に消えた真実へと思いを馳せてみるのも、この作品の素敵な楽しみ方ですね。
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