北海道の雄大な自然と家族の愛を描き、今なお多くのファンに愛され続けるドラマ『北の国から』。ドラマの舞台といえば「富良野」、特に「麓郷(ろくごう)」という地名がすぐに思い浮かぶ人も多いでしょう。
しかし、なぜこの場所が選ばれたのか、その背景には脚本家・倉本聰氏の個人的な転機と、この土地が持つ特有の歴史が深く関わっています。今回は、ドラマが生まれた経緯や、舞台となった麓郷の開拓史、そして作品に込められた想いについて考察していきます。
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脚本家・倉本聰氏が北海道へ移住したきっかけ
『北の国から』が誕生する前段階として、まず倉本聰氏自身が北海道へ移住した経緯を知る必要があります。かつて東京で脚本家として多忙な日々を送っていた倉本氏は、NHKの大河ドラマ『勝海舟』の脚本を担当していました。しかし、制作現場での対立や内部事情に巻き込まれる形でトラブルが発生し、上層部と衝突することになります。
この出来事をきっかけに、倉本氏は仕事への自信を喪失し、半ば逃げるように北海道へと渡りました。知人から「人は負けると北へ向かう」と諭されたことも、北への移動を後押ししたといわれています。札幌で一時生活を送る中で、現地の人々の温かさに触れた倉本氏は、北海道に定住することを決意します。この時の「都会での挫折」と「北の大地での再生」という実体験が、後の『北の国から』の物語の骨格になっているとも考えられます。
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なぜ「富良野」の「麓郷」が選ばれたのか
北海道の中でも、なぜ富良野、そして麓郷という場所が選ばれたのでしょうか。
厳しい自然を求めて
札幌から移住先を探す際、倉本氏は「北海道の中でも特に寒暖差が激しく、自然が厳しい場所」を求めたといいます。都会の生活に慣れきってしまった自分を戒め、厳しい環境に身を置くことで、もう一度人間としての原点に立ち返ろうとしたのです。その条件に合致したのが、道央に位置する盆地である富良野でした。
地元住民との運命的な出会い
具体的な舞台が「麓郷」に決まった背景には、ある人物との出会いがあります。富良野に移住した倉本氏は、麓郷で林業を営んでいた中世古善雄(なかせこよしお)さんと出会います。中世古さんが冬の山仕事の合間に、雪の中で焚き火を囲んで弁当を食べる姿を見た倉本氏は、その光景に感銘を受け「ここでドラマを作りたい」と直感したそうです。
この中世古さんは、ドラマに登場する「中畑のおじさん(地井武男演)」のモデルになった人物とされており、ロケ地の提供や撮影協力など、作品の制作を献身的に支えました。
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麓郷の開拓史と黒板五郎の生き方
ドラマの中で、黒板五郎(田中邦衛演)は廃材を使って家を建て、電気も水道もない場所で生活を始めます。実はこの設定は、麓郷という土地が歩んできた実際の歴史と重なる部分があります。
遅れてきた開拓地
麓郷地区の本格的な開拓が始まったのは、大正時代に入ってからとされています。明治期から開拓が進んでいた他の地域に比べると遅いスタートであり、そこには「石が多く、木々が密集する」という厳しい地理的条件がありました。かつては巨木が生い茂り、地面は石だらけで、農地にするには大変な苦労が伴う土地だったといいます。
昭和の北海道生活と「拾って来た家」
ドラマの後半で登場する「拾って来た家」は、廃棄されたバスやゴンドラなどを再利用して作られていますが、これも単なる演出ではありません。昭和の開拓期や戦後の物資が不足していた時代、北海道の農村では「あるものを工夫して使う」という生活の知恵が当たり前のように根付いていました。実際に麓郷には、ドラマの撮影終了後も「拾って来た家」が保存されており、大量消費社会へのメッセージとして、その不思議な造形を見ることができます。
「便利さ」への問いかけ
『北の国から』の根底には、現代社会の便利さに対する強烈なアンチテーゼがあると考えられます。倉本氏は、東京での生活を通して「お金さえ出せば何でも手に入る社会」に疑問を抱き、人間が本来持っている「創り出す能力」や「生きる知恵」が失われているのではないかと危惧していました。
ドラマの中で、都会育ちの純と螢が不便な生活に戸惑いながらも成長していく姿は、文明の利器に頼らず「生きる」とはどういうことかを視聴者に問いかけています。舞台となった富良野の自然は、美しいだけでなく、時には人間に牙をむく厳しい存在として描かれます。その中で懸命に暮らす黒板家の姿は、かつてこの地を切り拓いた先人たちの歴史そのものといえるかもしれません。
まとめ
『北の国から』の舞台が富良野・麓郷である理由は、単に風景が美しいからだけではありません。そこには、脚本家自身の人生の転機、厳しい自然環境への畏敬の念、そして岩だらけの土地を切り拓いてきた開拓者たちの歴史が幾重にも重なっています。
ドラマが終了してから長い月日が流れましたが、富良野には今も黒板五郎が暮らした「石の家」や「拾って来た家」などが残されています。現地を訪れることで、画面越しでは感じきれなかった「北の国」の風や匂い、そして厳しくも温かい土地の記憶を感じることができるかもしれません。
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