ドラマ「北の国から」ロケ地巡り完全ガイド|富良野・麓郷で五郎の家族の足跡を辿る旅

ドラマロケ地

北海道富良野市。この広大な大地は、国民的な名作ドラマ『北の国から』の舞台として広く知られています。東京から富良野の山あいの集落「麓郷(ろくごう)」へ移住した黒板五郎とその子どもたち、純と蛍の家族の物語は、1981年の連続ドラマ開始から2002年の最終話まで、実に21年間にわたり描かれました。

このドラマの最大の魅力の一つは、主人公である黒板五郎(田中邦衛)が、都会の便利な暮らしを手放し、自らの手で家を建てて自給自足の生活を営む姿にあります。作中で使用されたロケセットは、今も富良野の麓郷エリアに大切に保存されており、当時の世界観そのままに見学することが可能です。

本記事では、「北の国から」ファンはもちろん、ドラマを見たことがない方でも楽しめるよう、黒板一家が暮らした歴代の家々を中心に、富良野に残る重要なロケ地を効率よく巡るための情報をご紹介します。

黒板五郎が家族と暮らした「歴代の家」巡り

五郎が暮らした家々は、黒板親子の歴史そのものです。時系列を意識して巡ることで、彼らの生活の変化や、五郎の家族に対する深い愛情を感じることができます。

最初の家と五郎の石の家(富良野市東麓郷)

黒板一家の富良野での暮らしは、東京から移住してきた1980年秋、「最初の家」(借家)から始まりました。この家は、ほぼ廃屋同然の状態だったものを五郎が修理し、沢から水を引き、石で貯蔵庫を作るなどして、質素な自給自足の生活をスタートさせた場所です。ドラマ第1話で純が「電気がない!電気がなかったら暮らせませんよ!」と言うのに対し、五郎が「夜になったら眠るんです」と返した名シーンが生まれたのもこの家での生活でのことです。

この「最初の家」は現在、「五郎の石の家」と同じ敷地内(富良野市東麓郷)に再現・移築されており、内部を見学できます。

「五郎の石の家」は、五郎が家族のために建てた家としては5番目にあたり、『’95 秘密』から最終話『2002 遺言』まで登場しました。もともと丸太で家を建てる予定だった五郎が、息子の問題への「誠意」を示すために丸太を売り払った後、畑から出てくる大量の石を「もったいない」と感じ、一人でコツコツと積み上げて完成させた力強い住まいです。

家の中には、五郎の哲学である「手に入るもので暮らす」という精神に基づいた、石積みの暖炉や石風呂などがそのままの状態で保存されており、当時の暮らしの空気を感じることができます。また、建物の隣には、ファンにとって新たな巡礼地とされる「黒板五郎のお墓」も設置されています。

丸太小屋と3番目の家(麓郷の森)

「麓郷の森」は、1981年の最初のシリーズから収録が行われたロケ地で、現在も観光名所として整備されています。ここでは、五郎が手作りした家の中でも特に象徴的な「丸太小屋」と、その後に家族が暮らした「3番目の家(風車の家)」を見学できます。

「丸太小屋」(2番目の家)は、五郎が仲間たちと協力して丸太から作り上げた、黒板家が最も長く住んだ家です。しかし、この小屋は『’84 夏』で純たちの不注意による火事で焼失してしまうという衝撃的なエピソードの舞台となりました。現在残されているのは、忠実に再現・保存されたロケセットで、家族が過ごした台所や寝床、薪ストーブなどを見ることができます。

倉本聰氏の「灯は小さくても いつもあったかい」という言葉が刻まれた丸い板が玄関に掛けられているのも印象的です。

丸太小屋を失った五郎たちが次に移り住んだのが、離農した農家の廃屋を修繕した「3番目の家(風車の家)」です。丸太小屋よりもしっかりした構造を持ち、純が五郎の誕生日に風力発電の風車を完成させた、家族の再出発を象徴する場所です。

麓郷の森の敷地内には、ギャラリーや売店がある「彩(いろどり)の大地館」や「森のレストラン」も点在し、自然の中で過ごすことができます。

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廃材の精神が息づく「拾ってきた家たち」

「拾ってきた家たち」は、シリーズ最終章『2002 遺言』で登場する家々の集合体です。五郎の「まだ使えるものは捨てない」という思想の結晶であり、廃材や不要品を再利用して作られているのが大きな特徴です。そのユニークな形から人気を集めています。

このエリアには、五郎の義理の娘である雪子(竹下景子)のために、大型トラックの荷台やスキー場のゴンドラ、電話ボックス、冷蔵庫などの廃材を利用して作られた「雪子の家」があります。

また、五郎の幼なじみである中畑和夫の娘すみえ夫婦のために、貨物用コンテナや金庫、シャッターなどの産業廃材を使って建てられた「正彦とすみえの家」も並んでいます。

さらに、ドラマ終了後の設定で五郎が純と結のために建てた、廃バスをベースにしたユニークな構造の「純と結の家」も見学できます。

 

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ドラマの世界に浸れるその他の富良野のロケ地

街中に残る重要スポット:中畑木材工業と小野田そば屋

中畑木材工業(麓郷木材工業株式会社) 五郎の幼なじみである中畑和夫(なかちゃん)が経営していた会社として、仕事や地域とのつながりを象徴する場所として頻繁に登場しました。ここは現在も「麓郷木材工業株式会社」として営業している実際の木材会社です。入り口横には「中畑木材工業株式会社」の看板が掲げられており、「なかちゃん」のモデルとなった実業家が経営していたことでも知られています。
小野田そば(旧小野田旅館) 連続ドラマからスペシャル版まで、社交や宴会の場として何度も使われた建物です。現在は「小野田そば屋」として営業しており、レトロな外観は当時のまま残されています。店内は地元の人と観光客に愛されており、壁一面に貼られた名刺や色紙が歴史を感じさせる名店です。ここでは「かしわそば」や「ざるそば」がおすすめとされています。

純や螢が通った学びの場:中の沢小学校分校と富良野神社

中の沢小学校分校 純や蛍、正吉たちが通った、地域との温かい繋がりを象徴する小さな学校です。実際のロケ地は富良野市八幡丘にある「八幡丘会館」で、現在は公民館として使われていますが、校舎正面には「中の沢小学校分校」の看板が残されています。建物の中に入ることはできませんが、外観は自由に見学できます。
富良野神社 シリーズ終盤の感動的なシーンで登場しました。『’98 時代』では、蛍と正吉がここで神前結婚式を挙げ、また『2002 遺言』では純のパートナーである結(内田有紀)が雪の中、静かに祈りを捧げるシーンが印象的に描かれています。
布部駅 ドラマで黒板一家が東京から富良野に来て、最初に降り立った駅です。しかし、JR根室線の一部の区間(富良野—新得間)が2024年4月1日に廃線になることに伴い、布部駅も廃止される予定です。この駅舎は黒板一家の「始まりの一歩」となった場所であるため、保存を望む声があるようです。

ロケ地巡りのためのアクセスと施設情報

広範囲に点在するロケ地を巡るには、自家用車やレンタカーの利用が最も効率的です。富良野市街から麓郷エリアまでは車で20分から40分程度かかる場所もあります。

施設名 所在地 アクセス(車) 営業時間(目安) 料金 備考
五郎の石の家・最初の家 富良野市東麓郷 JR富良野駅から約30分 4月中旬~9月下旬 9:30~17:00(11月上旬まで営業、冬期閉鎖あり) 大人500円、小学生300円 共通券あり
麓郷の森 富良野市東麓郷 JR富良野駅から約20分 4月中旬~9月下旬 9:30~17:30(11月上旬まで営業、冬期閉鎖あり) 有料 共通券あり
拾ってきた家たち 富良野市麓郷市街地 JR富良野駅から約40分 4月中旬~11月下旬 9:30~18:00(冬期期間も営業している可能性があるため要確認) 有料 共通券あり

※公開期間は4月中旬から11月上旬にかけての設定が多く、多くの施設が冬期は閉鎖されます。訪問の際は、最新の営業状況を施設へ直接ご確認いただくようおすすめします。

ロケ地巡りは、富良野の雄大な自然の中を移動するアウトドアの旅になります。移動距離が長いため、運転に疲れたら、麓郷展望台から美しい日本のむら景観百選に選ばれた麓郷一帯の風景を眺めて休憩するのも良いかもしれません。


黒板五郎が家族のために懸命に生き、手作りの家を次々と建てた富良野の麓郷。その家々は、まるで作中の登場人物たちの心の移ろいや、時代の変化を映し出す鏡のようです。訪れた人々は、建材の一本一本から五郎の「生活の重み」や、純や蛍、雪子たちとの温かい日々の記憶を感じ取ることができるでしょう。

不便な生活をあえて選び、自然と共存しながら生きた黒板一家の足跡を辿る旅は、私たち自身の「本当に大切なもの」は何だろうかと、静かに問いかけてくれる、そんな時間になるかもしれません。富良野の澄んだ空気の中で、ぜひドラマの世界に思いを馳せてみてください。それはまるで、長い手紙を読むように、一つ一つの家から家族の物語を受け取るような旅になるでしょう。

 

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